「獣医師執筆」 ペットの誤食 これって様子を見てて安心?

ペットと暮らし

はじめに

 わんちゃんや猫ちゃんは遊ぶのがとっても大好きな生き物たちです。しかし、その無邪気な性格はときに非常に危険な事態を招く場合があります。

 特に年齢の若いわんちゃんや猫ちゃんは、1歳前後の人間の赤ちゃんがいるようなものですから、なんでも口に入れて確かめます。もちろん、大好きなご家族の方がくれるものならなんでも食べます。気付いた時には飲み込んでしまっていて…なんてことも多くないでしょう。今回はその上位トップ3をご紹介致します。

おもちゃ系

 布製やゴム製、プラスチックなどがありますが、その付属品のボタンや飾りなども誤食することはあるでしょう。とくに猫ちゃんはひものおもちゃが大好きです。おもちゃでなくとも糸で遊んでいて飲み込んでしまったなどもよくあります。長いひもであれば、腸管に引っかかってしまい最悪の場合手術が必要になります。

食べ物系

 ・チョコレート

 これはかなり有名かと思われます。多量に摂取した場合中毒症状(下痢、嘔吐、興奮、頻脈、不整脈など)がみられます。チョコレート自体が中毒物資なのではなく、その中に含まれるテオブロミンやカフェインといった物質が原因となります。

 それらの中毒量はわんちゃんねこちゃんで決まっていますが、残念ながらほとんどの製品にその含有量は書いておりません。基本的にカカオが多く使われる場合(ビターチョコレート)は比較的注意が必要で、ホワイトチョコレートはその含有量は少ないと言われております。

 ・たまねぎ

 こちらもよく耳にするかとおもいます。わんちゃんよりもねこちゃんでより少量で中毒症状(貧血、元気消失、過呼吸、血尿など)がでます。一般的に体重1kgあたりわんちゃんは15〜30g、猫ちゃんは5g前後と言われています。また、にんにくやネギ、ニラなどの同じ科に属する植物でも同様に注意が必要です。

薬品系

そもそも人体に影響のあるレベルのものが身近にあることは少なく、わんちゃん猫ちゃんが誤食しても比較的問題になることはないものが多いです。が、人間用のお薬のなかで特に危険なものがアセトアミノフェン(ロキソニンなどの解熱鎮痛剤に含まれる一種)です。特に猫ちゃんはこれらを体のなかで分解する能力がひくく、容易に中毒量(過剰なよだれ、呼吸困難、血尿など)に達し最悪の場合亡くなってしまう場合があります。です。ほかにも、家庭用品(洗剤など)や殺虫剤などがありますが、多量にたべてしまった場合は注意が必要です。

食べてしまったら?

 口の中に残っている場合は取り出せそうであれば取り除きましょう。ただし、決して無理にひっぱったりしてはいけません(特に猫ちゃんのひもの誤食など)。口の中や胃腸を傷つけてしまう場合があります。

 また、ご飯を食べさせたり水などの液体を飲ませるのもやめましょう。一部の中毒物質(たばこのニコチンなど)は、液体などに急速に溶けてより吸収を早めます。また、のどの奥に指をいれたりお腹をおしたりして無理に吐かせるのもやめましょう。誤嚥してしまったりする場合があります。

 基本的に誤食してから3-4時間以内であれば、胃の中に残っていることが多いため、動物病院で催吐処置(薬などで気持ち悪くさせて吐かせる処置)を実施してもらいましょう。

まとめ

 ここに挙げたものは、わんちゃんねこちゃんの誤食でよく見かける代表的なものです。これら以外にもその健康を脅かすものはたくさんあります。もし、食べてしまった後で不安になった場合はすぐにお近くの動物病院にご相談いただければと思います。