【はじめに】
息子達が産まれる前、ヨークシャーテリアの男の子、チョッパーが最初の私達の息子でした。
とても賢い子で、初めてで不馴れな私達を親にしてくれた子でした。
そして、みんなに愛された子です。
【第一章】『病気の発覚』
ワクチン以外で病院にかかったことのないチョッパーは、病気知らずでずっと元気でした。
ワクチンの時には血液検査もあり、13年間は数値に問題はありませんでした。
ところが14歳になったある日、いつもの動きと違うことに気付き、すぐ病院に行きました。
肺に水が溜まる病気でした。
そして、その苦しさを抑える点滴と薬が、チョッパーの体質では心臓の弁の機能を弱くしてしまうものでした。
私達はもちろん長生きはしてほしいのですが、苦しませたくないのが一番なので、何度も獣医師に確認しましたが、肺に水があるのは苦しいけど、無くなれば苦しくないし、万が一の心不全も一瞬だそうです。
それならその日まで大事に幸せに暮らさせてあげようと家族で決意しました。
【第二章】『朝の光景』
病気が発覚して約半年、チョッパーはこのまま15歳を迎えて、老衰で亡くなるかもしれないと、思い始めたある朝の事でした。
いつも通り、主人がストーブの前の座布団で寝ているチョッパーに
「いってきます」
優しく撫でておでこにキスして、会社に行きました。
続けて子供達もチョッパーを撫でて軽く抱き締めて、学校へ行きました。
パートに行く時間が迫っている私は、家事を済ませようといつも通りキッチンに立っていました。
後ろから視線を感じ振り返ると、チョッパーがこちらを見ていました。
最近朝は横になってずっと寝ているチョッパーがお座りをしていました。
私はすぐに手を止めて側に寄りました。
「どうしたの?珍しいね」
そう言っていつもより念入りに撫でてあげました。
すると、朝からご飯はあまり食べないチョッパーがモグモグ食べ始めました。
そしてとてもいい顔でこちらを見ています、まるで子供の時に誉めてほしいとワクワクして座っている時の顔でした。
私はパートの時間まで家事を辞めて、チョッパーの横に座り、ずっと誉めて撫でてあげました。
そして、家を出る時間がきたので、抱き締めるように撫でるとチョッパーが腕の上に顔をのせて甘えてくれました。
「いってきます」
少し食欲復活したのなら、以前大好きだった少し高い犬用のおやつを買ってこようと思い、家を出ました。
まったく、何も、この先の事を想像はできませんでした。
【第三章】『一人で逝かせてしまった後悔』
チョッパーのおやつを買いに大型スーパーに寄った私は、子供達も帰ってくるし急いで家に帰りました。
自宅に着くと子供達も帰ってきました。
みんなで家に入り、いつも通り、
「チョッパーただいまー」
いつも玄関までゆっくり歩いてくるチョッパーが来ません。
慌ててリビングのチョッパーのところへ行くといつもの場所でいつものように丸くなって寝ていました。
私はホッとしてキッチンに買い物したものを片付けに行きました。
子供達が部屋に荷物をおいてリビングにチョッパーを撫でに来ました。
「ママ、チョッパー冷たいよ」
え?何言ってるのと思い、チョッパーを撫でると冷たいし、ストーブの前にいるのに全体が固まっている感じでした。
「チョッパー、起きて?目開けてよ。朝元気だったでしょ?チョッパー!」
チョッパーは寝てるだけのようなのに、2度と起きてくれませんでした。
すぐ主人に電話をすると、仕事が一段落していたので帰ってきてくれました。
主人はチョッパーを撫でながら
「よく頑張ったな」
主人も子供達も泣きながらずっとチョッパーを撫でていました。
「いつもと違って元気な姿見せてくれたの。嬉しくっておやつなんか買うために遅くなっちゃった。いつもと違うと気付いていたのに」
一人で逝かせてしまったことを後悔している私に主人は
「きっと最後に大好きなママの笑顔を見て、眠るように逝けたんだよ。顔見ろよ、寝ているようだよ。苦しまなかったんだよ、良かったんだよ」
私は大号泣してしまいました。
すると今度は子供達は泣きながらも
「ママがそんなに悲しんでいたら、チョッパー天国逝けないよ」
その通りです、そして、ここ半年で急に成長した子供達にビックリしました。
私達家族はチョッパーのおかげで、楽しくて幸せな時間を過ごしてきました。
そして、命の尊さも教えてもらい、子供達を成長させてもらいました。
亡くなって三年、今でもみんなの大切な家族です。
天国から見ててね、ママもみんなもチョッパーにもらった幸せは大切にするからね。
【最後に】
チョッパーが亡くなった当時、小学四年生だった次男が6年生の時に作文を書きました、そして北海道のコンクールで銀賞をいただきました。
その作文は今もチョッパーの写真の後ろに飾ってあります。
その題名は『大好きなチョッパー』です。