【はじめに】
私達夫婦の初めての息子ヨークシャーテリアのチョッパーが天国に逝って、3年経ちました。
頭がいい子で、お行儀が良く犬のしつけが上手だと私まで誉められていました。
でもやはりチョッパーのお陰でした、私は色々足りない人でした。
【第一章】『賢い犬』
チョッパーは賢かったです。
犬を育てた事がない私の、言うことをきいてくれた犬です。
誉めてほしくて、おやつがほしくて、お手もお座りも死んだふりもすぐに覚えました。
チョッパーが凄く利口だっただけですが、私が犬に芸を覚えさせるのが天才だとも思っていました。
しつけ…としては、おすわりからの「よし」の号令がないと絶対食べない子に育てました。
何度も書きますが、すごいのはチョッパーでした、決して私ではありません。
主人は意地悪をして、なかなか「よし」を言わないので、ヨダレを垂らして待っていることもありました。
そんな時はおやつを倍用意してあげます。
大人になってからも、家でお留守番している時にキッチンに食べ物があっても手を出す事はありませんでした。
【第二章】『私の思い上がり』
チョッパーが我が家に来てから2ヶ月が経った頃、主人が長期出張で海外に行きました。
子供が産まれる前の私は、精神的に主人がいなければ生きていけない、とてももろい人でした。
チョッパーが利口だからうまくいっていただけで、子育てを主人の手を借りずに、一人不器用な私はいっぱいいっぱいだったので結果は見えていました。
まだ小さいチョッパーはウンチを慌てて食べてしまう事がよくありました。
それをやめさせようとしてる私の動きが、余計もっと急いで食べるようになりました。
そのストレスが限界にきてた私は、その日自分の心の狭さ、キャパの小ささに愕然とします。
いつものようにウンチをして、食べようとしたので、思わず私は左手ですぐ捕まえ、お尻を拭くからと言って持ち上げた時に、慌てたチョッパーが私の左手を咬みました。
その瞬間、痛みと怒りと悲しみでどうしようもなくなった私は、座っていたので高いところから振り落とした訳ではないのですが、壁の方へ投げる形を思わずとってしまいました。
チョッパーは「キャンッ」と鳴きました、その時に自分がとんでもない事をしたと自分自身にビックリして、そのままうずくまり声を上げて泣きました。
自分がやってしまった事が怖くて泣きながら震えました。
そんな私の足によじ登り、チョッパーは私の気を引くのに顔の近くに来てくれました、尻尾をふって。
私はチョッパーを即座に抱き締め、謝りました。
「チョッパーごめん。本当にごめん。もう感情的な事で怒ったりしないから。ダメなお母さんでごめん。」
謝りながらまたしても号泣です。
チョッパーにその後、一切乱暴な事はしてません、感情的な叱りつけも。
そして、それから一年後にできた子供達にももちろん乱暴はしていません。
【第三章】『反省をいかして』
あの時の記憶は今でもハッキリあります。
チョッパーに申し訳なくて、自分が許せなくなります。
子供達ができる前にチョッパーが私のダメなところを教えてくれて、直してくれた気がします。
チョッパーは最後まで私にベッタリでした。
たくさん愛していたし、私も愛してもらいました。
今あの場面に戻れるなら絶対にしないのに…と、涙が出ますが、きっとこの反省もチョッパーは天国で見ていてくれてる気がします。
【最後に】
あれから私は出産、育児で肝っ玉母ちゃんに変化しています。
チョッパーを大好きだった子供達に、私の酷いことをした過去の話をすると、ビックリされました。
そして、反省してもあんなに鬼ババになるのかと言われました(笑)
チョッパーがあの時、怪我しなかった事は本当に良かったと思います。
チョッパーに聞きたいです、私はいいお母さんでしたか?って。
いつの日か聞ける時が来るまで、子供にも今いる猫達にもいい母親でいようと思います。