『保護した雀を育てた30日間』

【はじめに】

雀を保護した経験のある方に執筆を依頼しました。

私は野生の鳥を保護したらすぐに野鳥センターや役所に伝えなくてはいけないことを知りませんでした。

私はただ、助けられるのなら助けたいと思っていただけでした。

【第一章】『野生の厳しさ』

当時中学生だった私は、カラスに巣をつつかれて雀の雛が2羽落ちてきたのを見ました。

カラスを追い払い、空き家の排気口から巣がバラバラになって落ちている時に、巣に引っ掛かっている1羽のまだ毛の生え揃ってない雀の赤ちゃんを慌てて手で受けとりました。

すでに2羽は落ちていて動かなかったのですが、急いで拾い自分の服で温めて、まだ生きてるかもと思い、自宅に急いで帰り、ホッカイロをタオルに包みフカフカのベッドを小さめのかごに作り3羽を入れました。

急いでペットショップに行き、店の人に何を食べさせたらいいか聞いたら、雛にあげるための注射器と文鳥のエサを水と混ぜて食べさせればいいと、一式貸してくれました。

お金はいいからと言われて、その時はお礼を言って店を出ました。

エサを赤ちゃん仕様に作り注射器で食べさせようと、かごの蓋を開けたら、2羽がピーピー鳴いています、落ちた1羽は復活で喜んでいたら、1羽は死んでいました。

助けられなくてごめんねと裏庭に墓を作り埋め、手を合わせました。

生き残った2羽を必ず育て上げる事を決めたのは、私が中学2年生5月の中頃の事でした。

【第二章】『学校側の配慮』

雛達は夜部屋を真っ暗にすると寝てくれました。

朝は5時から泣いてエサを求めます。

夜以外三時間おきにエサを欲しがるのがわかったので、その日から働いている母親にはバレないように、学校行く直前にエサをあげて、三時間目が終わるとすぐに家に帰り、四時間目はいつも遅刻して戻り、給食時間も家に帰り、部活前にもう一度家に帰る…そんな生活を続けていました。

授業に遅刻しても最初は腹痛でトイレにいたとうそを通していました。

しかし、1週間も続けると先生方に疑われ自宅に連絡が行きました。

母にバレてしまい理由を聞かれ、エサをあげないと死んでしまうと答えると、雀をもって学校に母と理由を話に行きました。

担任の先生は給食を食べないでいた私を心配してくれて、特別に学校に雀達を連れてきて面倒診てもいいと言ってくれました。体育の時や部活の時は職員室で預かってもらいました。

小さくてかわいい声だったので、授業中にお腹すいて鳴き始めても、同級生や先生達も気にせず見守ってくれました。

これで学校からいなくなることだけを怒る大人が一人でもいたら、私は当時ひん曲がって育ったと思います。

感謝しかありませんでした。

名前をキキとララと名付けて可愛がりました。

【第三章】『成長のしるし』

・保護1日目=肌が丸見えで一羽はよく鳴くものの、もう一羽は小さい声。
・保護3日目=2羽とも元気でエサを倍食べ始めた。
・保護1週間=羽でふさふさ、元気一杯鳴くし歩こうとします。
・保護15日目=見た目はすっかり雀の子供。私の声がわかるのか私についてくる。
・保護20日目=エサが足りなくなり、この時母とペットショップにエサを買いに行き、20日前にお世話になったお礼を伝えました。
・保護25日目=そろそろ巣立ちさせたくて、ペットショップに相談に行きました、2羽はセキセイインコ用のかごに移動、飛んでます。
・保護30日目=ペットショップ経由で市役所から連絡があって、野生の鳥はこちらでお預かりしますと言われました。

【第四章】『別れの時』

すっかり慣れてくれたようでしたが、市役所から野生の鳥を育ててはいけないと言われました。
突然急なお別れでした。

キキとララは野鳥センターで預かってくれるそうです、素人が自然に復帰させるのは無理があるそうです。

それこそ他の鳥や動物に狙われるそうです。

よく考えたらそうでした、考えなしで自然に帰そうとしました、ペットショップの人が調べてくれたようです。

家に役所の人が迎えに来て、キキとララを連れていきました。

私は泣きながら「よろしくお願いします」と伝えました。

自然に帰す…実は私は考えてませんでした。

すっかり慣れたキキとララをずっと世話をしようと思っていました。

セキセイインコの大きいかごに飼えたら、学校に連れていかなくてもよくなるし、ずっと家で育ててあげられると思っていました。

その後、キキとララは虫などを捕まえ食べられるところまでいったそうです。

無事自然に飛び立ちました。

【最後に】

私は全校生徒の前で役所の偉い人から保護して育て上げたと表彰されました。

でも、私はちっとも嬉しくなかったです、それよりも本当に元気に過ごしているか心配でした。

母親のように世話をしていたあの30日は、苦労は思い出せないけど、切なさはまだ覚えている、大切な思いでです。

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