サンショウウオといえば、1メートル以上に成長する『オオサンショウウオ』を想像する人が多いと思います。
一方、クロサンショウウオは15センチ程の小さな体で、とても愛らしい表情を見せてくれる生き物です。
そんなクロサンショウウオについて、生態と飼い方を解説していきます。
●クロサンショウウオの生態
日本の固有種で、水の流れの少ない池や湿地に生息する両生類です。
幼生→幼体→成体と、姿を変化させ、徐々に陸の上で生活するようになります。
近年では生息場所の激減によって、準絶滅危惧種に指定されています。
ペットショップで見かけることはほとんどありませんが、雪解けがすすむ2〜5月頃には、湿地や田んぼで卵を採取することができます。
●クロサンショウウオの飼い方
クロサンショウウオは成長に合わせて、飼育環境を見直す必要があります。では実際の飼い方を成長段階ごとに見ていきましょう。
・【幼生〜】
幼生の頃のテーマは【餌】と【共食い】です。
クロサンショウウオは基本的に動くものにしか興味を示しません。
そのため、餌はブラインシュリンプというプランクトンがオススメです。
ブラインシュリンプは卵から簡単に孵化させることができ、幼生期の餌に最適。
他にも冷凍ミミズや赤虫を与えてみましたが、ブラインシュリンプへの食いつきが一番でした。
また、幼生期には共食いが発生します。
動くものに食いつく習性があり、我が家でも、しっぽが噛みちぎられるという事件がありました。
共食いを防ぐには個別に飼育するしかありませんが、飼育容器を分けることが難しい場合は、仕切り板がオススメです。
仕切り板を使えば一つの容器で、複数飼育することができます。
100円ショップに衣装ケース用の仕切り板があるので、活用してみてくださいね。
・【幼体〜】
孵化から2ヶ月程すると、手足が生え揃い、上陸する個体がでてきます。
その頃には共食いの心配は少なくなりますが、個別飼育の方が安心です。
小さめのタッパーに陸地を作り、少し水を張ります。
暗く狭いところを好むため、隠れ家を作ってあげると下に潜り込んでリラックスできます。
また、クロサンショウウオは脱走の名人ですので、タッパーには必ずフタをしましょう。
その際、必ず空気穴をあけてください。
・【幼体〜成体】
孵化から3ヶ月程で、ほとんどが陸地で生活するようになるため、広めの飼育ケースに移してあげましょう。
複数匹で飼育する場合は、幅60センチ程の水槽を使うと、クロサンショウウオが自分で好きな場所を選び、くつろぐことができます。
水場を作り、水苔や石を多めに入れてあげると、とても喜んでくれます。
この時期の餌はワラジムシを与えます。
ワラジムシはカルシウムが豊富なため、クロサンショウウオの健康維持に最適です。
また、健康維持には温湿度管理が重要になります。
クロサンショウウオは暑さと乾燥が苦手なため、水槽内温度20度前後と、高い湿度を保つようにしてください。
●まとめ
クロサンショウウオの生態と飼い方についてご紹介しました。
クロサンショウウオは飼育が難しい生き物ですが、手をかけた分だけ愛らしい表情で応えてくれます。
寿命も10年〜15年と長く、飼育するには相応の覚悟が必要です。生態を正しく理解し、適切な数を適切な環境で、大切に育てていきましょう。